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疾患について

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頭痛について

1次性頭痛と2次性頭痛

現代社会では、4人に1人が頭痛を持っています。頭痛の多くは、はっきりした原因がない1次性頭痛で生命などに影響がないものですが、腫瘍、出血などの明らかな病気を原因とするいわゆる「怖い頭痛」に相当する2次性頭痛もあります。

頭痛

頭痛の検査

頭痛を持っている人は、2次性頭痛でないことをまず確認する必要があります。当クリニックでは、通常、速やかに、神経学的検査、MRやCTで頭蓋内の病変がないか検索します。さらに必要に応じて採血、レントゲン、脳波などを行うときもあります。

2次性頭痛

専門的ですが、特に強く2次性(怖い)頭痛を疑う条件を下記に示します。もちろん、この条件を外れていても2次性(怖い)頭痛の場合があります。疑わしきはまず精査です。速やかに専門医の診断を受けることが大事です。

2次性頭痛を強く疑うとき

  • 今まで経験したことのない頭痛
  • いつもと様子の異なる頭痛
  • 頻度と程度が増していく頭痛
  • 50歳以降に初発の頭痛
  • 神経脱落症状を有する頭痛
    (手足が動かない、しびれる、ふらつく、しゃべりにくいなど)
  • 癌や免疫不全の状態を有する方の頭痛
  • 精神症状を有する方の頭痛
  • 発熱、項部硬直(後頭部や首が痛くて硬くなるなど)、髄膜刺激症状(歩いていて響くなど)の頭痛

1次性頭痛(片頭痛)

頭の片側、または両側のズキンズキンとする強い痛みが特徴です。仕事、家事、勉強、遊びなどに支障が出ることが多く、時に吐き気を伴うこともあります。また頭痛のときに、光をまぶしく感じたり、音に敏感になられる方もおられます。少数派ですが、この頭痛の前に前兆を伴う方もおられます。前兆の代表例は、眼の症状で視野の一部が見えにくくなりギザギザした光が見えたりする閃輝暗点です。片頭痛は発作は強い頭痛ですがトリプタン製剤という特効薬があります。これは頭痛の原因である頭部の血管や拡張や炎症を収めるものです。専門医にご相談ください。

1次性頭痛(緊張型頭痛)

頭部や首の筋肉の緊張やストレスなどにより起こる頭痛です。頭痛の性質は、重たいとか締め付けられとか表現され、持続時間は比較的長いのが特徴です。いわゆる筋弛緩剤や消炎鎮痛剤が使われることが多いようですが、十分な睡眠をとること、マッサージ、入浴、ストレッチなども効果があります。

1次性頭痛(群発性頭痛)

1~2か月にわたって集中してほぼ毎日起こり、じっとしていることができないほどの頭痛です。片方の目の奥が激しく痛み、目の充血や涙、鼻水などを伴います。治療については専門医とご相談ください。

めまい・ふらつき

めまいとは

めまいは体のバランスを支えるシステムが障害されることにより起こる症状です。
体のバランスを支えるシステムとは

これらのいずれかが障害されると「めまい」となります。

めまいの種類

脳が原因で起こるめまいは中枢性めまい、その他は末梢性めまいと言われます。

中枢性めまい

中枢性めまいでは、小脳出血、小脳梗塞、小脳付近の脳腫瘍などが原因であることが多いようです。この脳が原因で起こるめまいの特徴は、めまいに加えてその他の脳の症状を伴うことが多いことです。その他の脳の症状とは、頭痛、しびれ、筋力低下、手足の微妙な動きができない、呂律困難、物が2重に見えることなどがあります。また中枢性のめまいは、程度が強く歩行や起立が困難になることがあります。しかし、小脳下部の出血や梗塞では、回転性めまいのみのこともあり注意が必要です。脳が原因のめまいは、生命的な危険もあり早急に適切に診断する必要があります。早期の脳梗塞の診断には特にMR(DWI法)が有効です。

末梢性めまい

末梢性めまいには、中枢性めまいより頻度が多いです。その中でも良性発作性頭位めまいが圧倒的に大多数です。その他、メニエール病は非常に少ないですが有名な病気です。

良性発作性頭位めまいは、耳の中の重力や直線加速度感じる器官から耳石が剥がれ落ちて、半規管という回転運動を感知する器官に迷入して起こる病気です。症状は頭位により回転性めまいが生じることと、聴力は正常ないし悪化しないことが重要で、診断はフレンツェル眼鏡で特殊な眼振を観察することで可能です。

耳石が半規管の外に出れば治ることも特徴です。そのために耳石を排出させるリハビリも行うこともあります。
メニエール病とは、回転性めまいと伴に聴力低下、耳鳴りなどの耳の症状が一致しておこったり悪化したりする病気です。内リンパ水腫が原因でおこると言われており、薬による治療や場合により手術も行われます。メニエール病に関しては耳鼻的な診察が特に有用です。

めまい

脳卒中

脳卒中とは

脳卒中とは、突然に脳の症状が出現する病気で、脳血管障害とほぼ同意義な言葉です。脳の症状というのは、頭痛、力が入らない、感覚がおかしい、しびれる、うまくしゃべれない、歩けない、物が二重に見える、平衡機能障害(ふらつき)、さらには意識が低下することなどを指します。

脳卒中の分類

脳の血管がつまっておこるものと、脳の血管が破綻し、出血しておこるものがあります。
脳の血管がつまっておこるものを脳梗塞といいます。つまり方により、ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症などに分類されます。最近は特殊なものとして動脈解離による脳梗塞も増加してきています。
脳の血管が破綻しておこる出血性のものには、脳の表面の動脈瘤などが破裂しておこるくも膜下出血と脳の中に出血がおこる脳(内)出血があります。

脳卒中の予防

脳卒中が発生してからでは、脳は非常に弱く、再生することがほとんどできない組織なので後遺症を持たざるを得ないことが少なからずあります。そういった点から脳卒中に関しては予防が特に大事になってきます。
予防は一般的な予防と個々の状態にあわせた予防があります。
一般的な予防とは、脳卒中は血管の病気ですので血管の負担をかけないようにすることです。最初にすべきは喫煙習慣の是正、過食、偏食や運動不足の是正などの生活習慣の改善です。動脈硬化を進める要因、高血圧、高脂血症、糖尿病、高尿酸血症などの治療も有効です。
さらに個々の状態に合わせた予防も可能です。MR、CT、エコーなどを行い、個々の脳の状態を把握しその人に合った特別な治療をすることもできます。たとえば、突然の頭痛はくも膜下出血の前ぶれでもあることもあります。このような時に、MR検査で動脈瘤が見つかるかもしれません。動脈瘤が発見されたときは、多くの場合で手術や血管内治療が有効です。出血をしていない動脈瘤に対しては、厳格な血圧のコントロールや禁煙が有効な時もあります。また、一時的な脱力は脳梗塞の前ぶれであることもあり、このような時にMRやCTで脳梗塞が見つかったり、MR、頸部血管エコーなどで動脈の狭窄がみつかることもあります。生活習慣の見直し、動脈硬化因子の見直し、抗血小板剤や抗凝固剤が必要となります。手術や血管内治療による血管拡張、ステントなどの処置も必要となることもあります。一歩進んだ予防をするためにMR、CT、エコーが使われます。また症状がないときでも脳ドックなどにより個々の脳や血管の状態の把握することは可能です。

認知症(物忘れ)

認知症とは

記憶障害や判断力が何らかの原因で低下し、今まででできていた社会生活、日常生活や対人関係に支障が出る状態をいいます。

増えてきている認知症

65歳以上の高齢者の7人に一人が認知症であると言われています。また4人に一人が、認知症および認知症の前段階の状態であるとも言われています。

認知症

認知症かなと思ったら

認知症はいろいろな原因があります。原因を診断した後に、適切な対策を立てることが必要です。アルツハイマー型認知症では薬の服用や生活習慣等を見直すことによって、その進行を遅らせる可能性もありますし、家族を含めた周囲の人たちの対応や、周辺環境の整備も見直す必要があるかもしれません。また正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫、脳腫瘍などに伴う認知症は手術等により改善がすることもありますし、内分泌障害、代謝障害に伴う認知症は、原疾患を改善させることで症状が治ることもあります。

認知症の種類

アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、脳血管性認知症、前頭側頭型認知症、その他(正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫、脳腫瘍、内分泌代謝障害等)などがあります。

認知症の症状

大きく中核症状と行動・心理症状(BPSD)に分けられます。
中核症状とは記憶障害(ものわすれ)、見当識障害(時間、場所、季節などが分からなくなる)、実行機能障害(論理的な行動ができない)などがあります。 行動・心理症状(BPSD)は中核症があるために、生活に対応できなくなって起こる症状でしばしば周りの人に迷惑をかけます。物をなくしたときに、人にとられたと思う「物盗られ妄想」などはその代表例です。

認知症の治療、予防

明らかに治りうる原因があるときはその治療です。たとえば正常圧水頭症で脳に水がたまっているときは水を抜く手術(シャント手術)があります。
アルツハイマー型認知症を代表とする加齢、老化と関連する認知症に対して完全に治るという薬はありませんが、神経細胞に働きかけ進行を遅らせる薬としてコリンエステラーゼ阻害剤とNMDA受容体拮抗薬の2種類の薬が認可されています。不穏、妄想、昼夜逆転などの行動・心理症状(BPSD)に関する薬も有効なことが多いと言われています。
脳血管性認知症に対しては、脳梗塞の予防薬や脳循環改善剤の効果も期待されます。
生活習慣も注目されています。肥満、高血圧、高コレステロール血症、糖尿病などは認知症の発症のリスクを増すと言われています。魚を中心とした食生活は認知症の発生のリスクを下げるとも言われています。また歩行などの適度な運動、集団でのリハビリテーション、社会生活も有効と言われています。